医療・美容コラム

一般皮膚

水虫かな?と思ったら

【2025/03/18投稿】

 

「最近足の皮がむけてきたので、水虫かと思って市販の塗り薬を使っていますが、良くならなくて…。」と言って来院される方がいます。

 

水虫(白癬)とは、白癬菌という真菌(いわゆる「かび」)の一種が足などの皮膚の小さな傷から入り込み繁殖する感染症で、皮剥けや水ぶくれ、かゆみなどの症状を引き起こします。

治療は主に外用薬(抗真菌薬)になりますが、自己診断で市販薬を使うことは、皮膚科としてはおすすめできません。それには大きく3つの理由があります。

 

1つ目は、水虫かどうかわからなくなるからです。

皮膚科では水虫を疑う場合、剥けた皮を顕微鏡で覗く検査を行いますが、市販薬を使ってしまうとそもそも白癬菌が見つからなくなってしまいます。その場合は、薬を塗るのをしばらくやめてもらってから、再度受診・検査という流れになります。

 

2つ目は、水虫ではない可能性があるからです。

多くの方は「足の皮がむける・足がかゆい=水虫」とイメージされるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。お子さんだと、足の皮膚が蒸れてふやけやすくなり皮が剥けるというケースも多いです。成人の場合も、湿疹やまた別の疾患の可能性もあります。

水虫ではないところに水虫の薬を使っても、当然良くなることはありません(時間経過で自然と良くなることはあるかもしれませんが)。それどころか下記のようなトラブルが出てくることもあるので、怪しい場合はやはり一度検査をしておくのが賢明です。

 

3つ目は、かぶれてしまう可能性があるからです。

病院で処方される抗真菌薬でも時々かぶれてしまう方はいますが、市販薬には抗真菌薬以外の成分もいろいろと混ざっていることが多く、塗ってかぶれてしまったときにどの成分でかぶれてしまったのかがわからなくなります。また、液体タイプのものをぐじゅぐじゅした皮膚に塗ってしまうことで、よりかぶれのリスクが高くなります。

「市販の水虫の薬を塗っていたら、効かないどころかもっとひどくなった」と相談に来る方は意外と多いです。この場合は、まずかぶれの治療をする必要があります。

 

水虫かな?と思ったら、自己診断で市販薬に手を伸ばさずに、皮膚科を受診するようにしてくださいね。

 

また、水虫の治療はたいてい時間がかかります。塗り方が間違っていたり、きれいになったと思って自己判断でやめてしまったりするとなかなか治らないので、根気よく治療を続けるようにしましょう。